人工知能分野で存在感のある華人を挙げてみた
人工知能分野で中国に抜かれるという論調が米国メディアで盛んなようです。今回は欧米の AI 領域で存在感を示す華人を挙げてみました。
Andrew Ngu / 吳恩達 / アンドリュー・エン
スタンフォード大やオンライン教育での機械学習講座が絶大な人気と知名度を誇る。Google 時代にはコンピュータが猫を学習したという成果が世界的なニュースとなり話題になった。
彼の講座で育った AI 技術者が世界各地に大量に存在する ( Coursera Machine Learning/Deep Learning は神講座でした )。
- 英国生まれ、香港人の両親を持つ (父親は香港の医者)。シンガポールの学校を卒業。Carnegie Mellon で学士、Massachusetts Institute of Technology で修士、University of California, Berkeley で博士号を取得。
- 指導教授は、統計学と機械学習で著名な Michael I. Jordan だが、Andrew 自身は伝統的に機械学習と縁の深い統計学 ( や金融工学 ) と異なる領域を探求している。
- スタンフォード副教授時代、機械学習講義が大好評となる。
- 2011 - 2012 年 、Google Brain を 立ち上げ、コンピュータが猫を自力で認識という成果が大きなニュースとなる。
- 2012 年、MOOC (大規模オンライン教育) の草分けである Coursera を、機械学習の著名な学者 Daphne Koller と共に立ち上げる。
- 2014 - 2017 年、中国の検索大手 Baidu に移籍。これを機に他の 6 名の専門家も Baidu 参加を決断し、その後 AI 部門は 1300 名まで拡大。中国の人工知能領域での台頭を印象付ける。
- Baidu は三顧の礼を尽くして Andrew を迎えたが、中には「あなたはオンライン教育では非凡な業績を上げたが、それは人工知能ではない」など中国語で「激将法」と呼ばれるいい方も用いたという。
- Andrew と前後して主要幹部も Baidu を離職したが、背景として検索部門と AI 部門の対立があり、検索部門のビッグデータを使えないという AI 部門の困難が挙げられている。
- Baidu 移籍後の 1 年間で中国語でのプレゼンもできるようになったとのこと。
Andrew の Coursera Deep Learning コースを受けた際に、教材で使っていたチャーミングなアジア女性の写真が気になっていた。女優さんかと思いきや、Andrew の奥さんだった。。。
- Carol E. Reiley - Wikipedia 。
- 台湾系アメリカ人。ロボット工学の研究者で、スタンフォード大発の自動運転企業 Drive.ai の共同創業者 (Andrew も取締役に就任している)。
- 二人は神戸の学会で出会ったとのこと。
参考リンク
- Andrew Ng - Wikipedia
- 吴恩达_百度百科
- 吴恩达 (Andrew Ng) 是一个怎样的人? - 知乎
- Lecture 1 | Machine Learning (Stanford) - YouTube
- Google、大規模人工ニューロンネットワークを用いた研究成果を紹介 | 日経 xTECH(クロステック)
- Googleの猫認識 (Deep Learning) - 大人になってからの再学習
- http://static.googleusercontent.com/media/research.google.com/en//archive/unsupervised_icml2012.pdf
- Machine Learning | Coursera
- Deep Learning | Coursera
- Robots Bring Couple Together, Engagement Ensues - IEEE Spectrum
- 被百度“耽误”的三年,如何影响了吴恩达的今天?_凤凰科技
- 和平分手?你根本不知道吴恩达在百度经历了什么 | 雷锋网
Fei Fei Li / 李飞飞 / フェイ・フェイ・リー
ディープラーニングによる画像学習に有用な大規模な画像データセット ( ImageNet ) を無償で世に送り出し、ビッグデータを活用する今日の AI 潮流への道筋を開いた。
AI の画像認識率が毎年向上し、ついには人間を超えたとも表現されるが、これは画像認識コンペティション ILSVRC の結果が人間の精度を超えたことを指して言われる。ILSVRC の正式名称が ImageNet Large Scale Visual Recognition Challenge であることから分かるように、ImageNet データセットを活用したものであり、コンペティションそのものが ImageNet と呼ばれることもある。
2012 年の ILSVRC コンペティションで Geoffrey Hinton 率いるディープラーニング+GPU 採用チームが圧倒的な性能で優勝したことが、近年の AI 勃興の契機となったとされる。
- 1976 年北京生まれ。四川省で育ち、16 才でアメリカへ移民。英語も話せなかった学生が、数年で有名大学に合格したことから、アメリカンドリームの体現として新聞に掲載された。
- 99 年に Princeton University で学士、05 年に California Institute of Technology で博士号取得。
- スタンフォード大準教授。Stanford Artificial Intelligence Laboratory (トヨタが連携研究センターを付設中) 所長。
- 2016 年 Google Could Platform の AI & ML 部門のチーフサイエンティストに就く。2017 年 Google 中国 AI センターを設立。
- 2007 年 ImageNet 立ち上げ時は、現在では明白な画像ビッグデータの重要性が理解されず、資金が集まらなかった。そのため学生時代に学費稼ぎに開いていたクリーニング店をまた開こうかと冗談を言っていたという。
- ImageNet の画像タグ付け作業 (画像に存在する物をマーキング) はクラウドソーシング ( Amazon Mechanical Turk(クラウドソーシングマーケットプレイス) | AWS ) により全世界の人的リソースを活用した。
- 学士卒業後、チベットへ赴きチベット薬学の研究をしていた。
- 16 才まで中国にいたということで、時折単語を忘れることはあっても中国語はネイティブレベル。
上記の Ted プレゼンでは、ディープラーニングの代名詞でもある CNN (畳み込みニューラルネットワーク) のパイオニアとして、「福島邦彦、Geoffrey Hinton、Yann LeCun」らの名が挙げられていた。Geoffrey Hinton と Yann LeCun は、それぞれ Google と Facebook 両巨頭の AI 部門を率いる存在として崇められているようだ。それと比較して、福島邦彦の日本での扱いは薄く、wikipedia のページも存在しない。
CNN 講座 ページの教師・アシスタント陣の写真を見たところ、半数近くが中華系と思われる外見と名前を有していた。今後ますます多くの人材が巣立ってゆくと思われる。
参考リンク
- Fei-Fei Li - Wikipedia
- 李飞飞(美国斯坦福大学计算机科学系副教授)_百度百科
- トヨタ、マサチューセッツ工科大学およびスタンフォード大学と連携研究センターを設立 | トヨタグローバルニュースルーム
- 从洗衣妹到科学家,她是AI女神李飞飞_搜狐科技_搜狐网
- 被称为业界大牛的斯坦福计算机视觉实验室的李飞飞(Google AI 中国中心负责人)具体牛在哪里? - 知乎
- 谷歌首席AI科学家李飞飞或离职 重返斯坦福大学AI实验室_科技_腾讯网
- 谷歌云首席科学家李飞飞:人工智能 极客公园 2017 年 大会演讲 - YouTube
Jen-Hsun Huang / 黃仁勳 / ジェン・スン・ファン
今は時めく Nvidia 社の共同創業者であり現 CEO。AI 勃興の最も大きな要因の一つに GPU を活用した計算能力の大幅な向上があったが、Nvidia 社は AI を含む GPU コンピューティングの最先端を走っている。
2012 年の Geoffrey Hinton 率いるディープラーニング活用チームによる ILSVRC 画像認識コンペティションの優勝も、Nvidia の GPU を活用したものであり、AI 潮流の中心的なベンダーと見なされている。
超有名人なので他の情報は検索で。。。
参考リンク
Tianqi Chen / 陈天奇
機械学習の領域で圧倒的な存在感を誇る XGBoost アルゴリズムを生み出した。
一般人には無名と思われるが、機械学習の現役技術者で XGBoost を知らない人はいないはず。最強アルゴリズムの一つとして Kaggle コンペティションでも人気。
- 2006 - 2013 年、上海交通大学の ACM (Association of Computing Machinery ) で学び、修士号取得。2013 年より ワシントン大学 博士課程。
- 北京の Microsoft Research Asia や Google Brain でのインターン経験あり。
- KDD CUP 2012 Track 1 コンペティションで優勝。
- 近年は様々なハードウェア向けのディープラーニング コンパイラー スタックのオープンソース開発を率いているよう ( 詳細は把握できてないが、様々なディープラーニング フレームワークがあり、デプロイ対象のハードウェアも CPU、GPU、FPGA と多岐にわたるが、統合的なコンパイラー スタックによる変換によって、要素間の複雑性やハードウェア デプロイの作業負荷の低減を試みているようだ )。
インタビュー記事が好印象。明確な問題設定のもとに、強力な実装力と情熱でアイディアを実現する人物との印象を持った。
参考リンク
- Tianqi Chen
- KDD Cup 2012, Track 1 | Kaggle
- https://arxiv.org/pdf/1603.02754.pdf
- COS访谈第18期:陈天奇 | 统计之都
- [1802.04799] TVM: An Automated End-to-End Optimizing Compiler for Deep Learning
- TVM Stack
- Introducing NNVM Compiler: A New Open End-to-End Compiler for AI Frameworks | AWS Machine Learning Blog
- 陈天奇的tvm更新了:VTA,开源AI芯片栈_凤凰网科技
- 陈天奇:TVM 深度学习全栈自动优化和软硬件协同设计 - YouTube
- TVMのバックエンド開発に参加した話 ~ AMDGPU で PyTorch のモデルを動かす ~
KaiMing He / 何恺明
2015 年の ILSVRC 画像認識コンペティションで、初めて人間の識別率を超えたと話題になった ResNet アルゴリズムは、北京の Microsoft Research Asia 所属の Kaiming He, Xiangyu Zhang, Shaoqing Ren, Jian Sun により開発された。
格段にディープなニューラルネットワークを可能にした ResNet は、発展著しい人工知能領域のエポックメイキングなアイディアとされる。
- 2003 年の大学受験において、広東省の理系トップの成績で清華大学に入学。
- 修士課程時代に Microsoft Research Asia へインターンとして入り、その後主任研究者となる。
- 2015 年 ResNet が ILSVRC 画像認識コンペティションで優勝。
- 2016 年 Yann LeCun 率いる FAIR ( Facebook AI Research ) に移籍。
ResNet 開発の他の 3 名についても、時間があったら調べたい (全員 Microsoft Rearch Asia を離れ、新天地で活躍している模様)。